近頃は地震や豪雨など様々な災害が日本列島を襲い、被害に遭われた方も多くいらっしゃいます。この先もいつ・どこで・どんな災害が発生するかも予測はしにくく、いろんな場面に備えて準備をすることが大切です。
自宅の防災を見直しているという方も増えていますが、仕事中など自宅以外で被災した場合にもしっかり備える必要があります。そこで今回はオフィスで被災した時の防災への備えをご紹介します。
仕事中・外移出中の防災として考えたい“帰宅困難者対策”
仕事中に大きな地震や非常に強い台風の接近・通過などで大きな被害が出てしまった時に身の回りの安全が確認出来たら、次に心配することは「帰宅」できるかということではないでしょうか。
電車や地下鉄、道路などの交通機関が麻痺してしまうと自宅へ帰ることができなくなる方が多く発生し、“帰宅困難者”と呼びます。
災害時には無理に帰宅せず安全な施設内に
非常時には家族や自宅の状況が気になり、一刻も早く連絡を取ったり帰って状況を確かめたいと考えるのは当たりまえの事です。
しかし電話がつながりにくくなったり、電車などの交通機関も麻痺してしまうことも。そういった時に慌てて職場を飛び出して無理やり帰ろうとするのは非常に危険です。
大きな地震が発生した後は余震の心配もあり、建物の倒壊や飛散物など様々な危険があります。また、大雨などの被害がある場合には突風や洪水などによる危険も考えられるため、すぐに帰ろうとせずに安全な場所で待機しましょう。
自宅まで10km以上の人は帰宅困難になる可能性を考えて備える
交通機関が麻痺してしまった時に歩いて帰ろうと考えた時、帰宅困難者になるのは自宅から会社・学校までの距離が10km以上ある方と考えられています。
10km以上になると距離が1km増えるごとに1割の人が帰宅不能になり、20kmだと全員が帰宅不能になると想定されています。まずは慌てて移動しようとせず、身の回りの安全確保や周囲の状況確認を優先させましょう。
そのため自宅までの距離が10km以上離れた方は万が一の時に帰宅困難者になると考えて備えることが大切です。
3日間の施設内待機に必要な備蓄
東京都では災害後3日間程度を応急対策活動期として、救助・救出活動を優先させる必要があると定めています。
これはその間は道路などの限られたライフラインを救助・救出活動に用いるという意図があり、企業は従業員の一斉帰宅で救助活動の妨げとならないように安全な施設内に待機させることを責務としています。
この3日間のために必要とされている備蓄の目安は以下の通りです。
- 水:1人当たり1日3リットル、計9リットル
- 主食:1人当たり1日3食、計9食
- 毛布:1人当たり1枚
- その他の品目については、物資ごとに必要量を算定
帰宅困難者対策ハンドブック・帰宅困難者対策条例の概要リーフレット/東京都防災ホームページ
個人用防災備蓄ボックス「そなえさん」で3日分の備蓄
オフィスに3日間の備蓄を準備しようと考えた時、全社員分の備蓄を収納するためにはスペースや配布する手間、管理の難しさなども考えられます。
その備蓄を各社員のデスク下に分散することで省スペースや手間の削減などを可能にしたのが「そなえさん」です。
これは企業側だけのメリットだけでなく、従業員側も薬やアレルギー、女性なら生理用品やスニーカーなど個人ごとに必要な備蓄品を管理することができるというメリットがあります。
また、残業用の食料としても活用し、ローリングストック(※)として個人管理するという使い方も可能です。
(※)ローリングストックとは、備蓄していた食品などを定期的に消費して、食べた分だけ買い足していく方法。非常時に備えた食品を無駄なく活用できるメリットがある。
歩いて帰るならしっかりとした備えをもって
徒歩で帰宅できる距離については男女差や年齢差など体力に個人差があります。周囲の状況が確認でき、徒歩で帰ることができると判断するときには、自身の体力についてしっかり把握しておくことが大切です。
障害物や洪水被害などで普段の通勤・通学と同じルートを通って帰宅できるとは限りません。そのため万が一に備えてしっかりと長時間歩くことができる準備をしておきましょう。
帰宅困難者対策で必要な知識
徒歩で帰宅するときに必要なのは防災グッズだけではありません。まずは帰宅困難になってしまった時のために必要となる知識を身に着けておきましょう。
ハザードマップで避難所の位置を確認
体力に余裕があると考えて帰宅を開始しても、普段とは違う状況で思っている以上に体力を消耗したり、けがをしてしまったりと帰宅不能になる可能性も十分にあります。
そういった場合にはすぐに目的地を自宅から避難所へ帰るようにしてください。
正常時にハザードマップなどで自宅から職場までの道のりにある避難所を確認しておきましょう。また、家族の集合場所などもあらかじめハザードマップで確認し決めておくことが大切です。
避難所は主に大きな公園や学校などが指定されています。しかし、地震や水害などによっては指定されている避難所が変わりますので、いろいろな災害に備えて避難所に目印をつけておくと便利です。
安否確認ツールを使って連絡手段を確保
災害時には電話やメールがつながりにくくなります。そのため家族の安否の確認手段を決めておくことで、状況の確認やどこに避難しているかなどを伝え合うことができます。
安否確認ツールとしては次のようなものがあります。
- 災害用伝言ダイヤル「171」
- 災害用伝言板web171(通信キャリア各社にも)
- J-anpi など
どの確認ツールを使うか家族で共有しておけば確認もしやすくスムーズです。
オフィスに備えておきたい帰宅のための防災グッズ8選
次に、徒歩で帰宅をすることを想定し、オフィスに備えておきたい防災グッズをご紹介します。普段からコンパクトなものは持ち歩くこともおすすめですが、毎日持ち歩くには大変なものはロッカーやデスクなどに備えておくと安心です。
リュックサックなどに入れて備えておくと両手が空くので良いでしょう。
1.通勤ルートマップを作る
普段電車や地下鉄などを使用している方は、歩いて帰る道のりを一度下見しておくと安心です。まずは自宅から会社までの経路地図を用意しておきましょう。
その地図に道順や避難所、立ち寄れそうな支援スポットなどをメモして利用すると便利です。首都圏にお住まいの方であれば「帰宅支援マップ」などもおすすめです。
また、防災マップにはオフラインで使えるスマートホンアプリなどもおすすめですが、災害時には電源の確保が難しくなる場合も考えて、印刷物などで準備しておくと良いでしょう。
2.災害時の緊急連絡カードを携帯
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自分自身に何かがあった時や、スマホの充電がなくなってしまった時などに備えて家族の連絡先や勤め先、学校、避難所の情報、自分の血液型やアレルギーなどを記入しておく名刺サイズの緊急連絡カードを普段から携帯しておきましょう。
3.水分と食料
命をつなぐうえで欠かせないのが飲み水です。普段から持ち歩いている方も多いですが、非常時の備えとしてオフィスに備えておくと安心です。
水以外にも飴やチョコレート、カロリーメイトなどの携帯しやすい食品も長時間かかる場合に備えて用意しておきましょう。
4.情報収集に必要なツール
災害時には正しい情報を速やかに入手することで安全を確認したり、帰宅できるかなどの判断にもつながります。情報収集ツールとしてはスマホや携帯電話、携帯ラジオ、携帯テレビなどがあります。
しかし停電などで充電ができなかったりすると継続的に情報を集めることが難しくなるため、予備のバッテリーを用意したり、手動充電できるものなどを準備しておくことも大切です。
5.長距離歩行の備えるグッズ
就業中に被災した場合、女性はパンプス、男性は革靴などを履いていることも多いですよね。そのままでは長距離歩くのは困難です。
スニーカーをオフィスに用意しておいたり、バッグの中に靴擦れ防止パットや衝撃吸収の中敷きを入れておくのもおすすめ。
6.暗い夜道を歩くための懐中電灯
長時間かけて帰宅することになった場合、夜道を歩くことになる可能性もあります。災害時には停電していて電灯がない真っ暗な道もあり、非常に危険です。そのためライトを持ち歩く必要があります。
おすすめは頭に付けるタイプのライトや首にかけることができるタイプのものです。非常時は両手がふさがっていると転倒した時に大きなけがにつながることも。そのため両手が自由に使えるようにしておくと安心です。
7.季節や天候・地域に合わせた準備
雨が降ってきたときにそのまま濡れてしまうと、身体が冷えて余計に体力を奪われます。しかし傘は風に煽られたり、人が多く密集したところでは大変危険です。雨合羽を着れば身体が濡れるのを防ぐだけでなく防寒にもなりますよ。
他にも季節や地域性に合わせて、カイロや汗拭きタオルなどを持ち歩いたり、立ち寄りスポットが少ない場所では携帯トイレ、女性であれば生理用品なども準備しておきましょう。
8.急なケガや病気に備える簡易救急セット
長時間の徒歩での帰宅には何があるか分かりません。怪我に備えて絆創膏や消毒綿などを持ち歩きましょう。また、普段飲んでいる薬があるという方は、常備薬と一緒に説明書などを入れておくと安心です。
災害時の帰宅困難な状況にもしっかりと備えよう
今回は就業中に起きた災害のためのオフィスの備えをご紹介しました。いつ起こるか分からない災害にはいろいろな場面を想定して備えることが一番大切です。
万が一に備えて自宅だけでなくオフィスでもしっかりと備えておきましょう。
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