看護師を目指すには?資格・仕事内容・キャリアアップと現実

     

最近は、高校や大学の進学を控えている若い世代だけでなく、年齢を重ねてから看護師の資格取得を目指す人が増えています。

出典:厚生労働省 看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

高齢社会の日本では将来的に深刻な看護師不足が懸念されています。

医療現場からの需要が高まりつつある実情に合致している現象と言えるでしょう。

この記事では、看護師に関わる資格や仕事内容、キャリアアップの実情などについて解説していきます。

この記事の要約
  • 若い世代だけでなく、年を重ねた人も看護師の取得を目指し始めている
  • 高齢社会・少子社会の日本では看護師ニーズが続いていく
  • ワーク・ライフ・バランスも実現しつつあり、キャリアアップの可能性もある

看護師とは?

看護師とは?

かつて「看護婦(男性は看護士)」と呼ばれた看護師という職業。

2002年に保健師助産師看護師法の改正を受け、現在では男女共通で「看護師」と名称変更されています。

女性のイメージが強いですが、男性の看護師も年々増えています。

看護師の主な仕事は、医療チームの一員として患者さんのケアや、医師の補助などを行うことです。

また、医療的なことだけではなく、患者さんやその家族の支えとなるよう、心のケアをするのも大切な役割の1つです。

最近は、一定条件のもと、医師の判断を待たずに看護師が特定の医療行為が行える研修制度が開始されるなど、看護師の仕事の幅は広がりつつあります。

活躍の場も病院だけでなく、下記のように様々です。

看護師が活躍できる場所
  • 病院、診療所、訪問看護
  • 社会福祉施設、教育施設、介護保健施設、訪問看護ステーション、保健所
  • 一般企業の健康管理室 など

看護師になるために必要な条件・資格

看護師になるために必要な条件・資格

看護師になるために必要な資格や条件について解説します。

看護師になるために必要な条件・資格

  • 看護学部や看護学校・養成所などを卒業する必要がある
  • 看護師として働くためには国家試験に合格しなければならない
  • 看護知識・技術に加え、体力と精神力も求められる

看護学系学部や看護学校・養成所などを卒業する必要がある

看護師になるための第一歩は、文部科学大臣指定の学校、又は厚生労働大臣指定の看護師養成所を卒業することです。

学校は、4年制大学をはじめ、3年制の短大や専門学校があります。

看護師へのルート
高校→大学・短期大学・専門学校・看護師学校(養成所)→看護師国家試験→看護師

2年制の看護系学科なども存在はしますが、国家資格の必要がない「准看護士」になるためのものです。

准看護士は制度の廃止や存続が検討されているため、今から目指すのであれば「看護師」がおすすめです。

准看護師とは

看護師と同様に患者さんのケアをする職種。「医師又は看護師の指示を受けて」業務を行う。都道府県知事発行の免許が必要となる

看護師として働くためには国家試験に合格しなければならない

看護師として働くためには、看護師国家試験に合格する必要があります。資格は一度取得すれば一生有効

60代以上の看護師も増えているなど、長く活躍できる仕事のひとつです。

受験資格は、前述した大学や3年制短大の看護系学科、3年制看護学校などを卒業すると得られます。

国家試験と言うと難しいイメージがありますが、計画的に勉強すれば合格する確率はかなり高い試験です。

もちろん、学校側も合格のためにしっかりとサポートしてくれるでしょう。

2020年の国家試験では、受験者65,568人、合格者58,513人、合格率は89.2%でした

例年合格率は90%前後で推移しています。

出典:第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験及び第109回看護師国家試験の合格発表|厚生労働省

さらに、資格取得後は「免許申請」を行います。厚生労働省が管理する有資格者の籍簿に「登録」するためです。

看護知識・技術に加え、体力と精神力も求められる

看護師は国家資格だけでなく、ハードな業務に耐えられるだけの体力や精神力が求められる仕事です。

「患者さんの役に立ちたい」という情熱や、人の命に関わる責任感の強さなども重要ですが、それだけでは長く続きません。

一時の感情に流されることなく客観的に物事を受け止めるなど、自分をコントロールする力が仕事を続けるうえで大切です。

また、医師やスタッフ、患者さんの家族など、立場の異なる人たちと協力しながら業務を進めるため、コミュニケーション能力や協調性も問われるでしょう。

看護師の仕事内容や働き方

看護師の仕事内容や働き方

続いて、看護師の具体的な仕事内容や働き方について解説します。

看護師の仕事内容や働き方

  • 看護師は患者の看護や医療補助を行う専門職
  • 日勤・準夜勤・深夜勤のスケジュール例を見てみよう
  • 看護師の「ワーク・ライフ・バランス」について

看護師は患者の看護や医療補助を行う専門職

看護師が活躍する場は、医療施設や介護施設、保育所、学校、企業、そして訪問看護の個人宅など多様です。

具体的な仕事内容は職場によって大きく異なります。

例えば、大病院に勤務する看護師は、病棟・外来・手術室などでも担当が分かれています。

病棟で働く看護師の仕事内容を見てみましょう。

病棟における看護師の仕事内容
  • 問診・各種検査
  • 点滴・注射
  • 食事・排泄の補助
  • 患者の移送
  • 検温や入浴の介助
  • 体位交換
  • 記録
  • 巡回 など

また、外来の看護師は、医師が行う診察の補助やカルテの整理、患者の検温などをします。

手術室を担当する看護師は手術の準備だけでなく、手術中は執刀医に器具を手渡したり、患者の容体を見守ったりする業務があります。

日勤・準夜勤・深夜勤のスケジュール例を見てみよう

看護師と言えば、夜勤に不安を感じる人もいるでしょう。

ここでは、「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の勤務時間例を見ていきます。

夜勤のある看護師の勤務体制には、「二交代制」と「三交代制」があります。

二交代制は、「日勤」と「夜勤」という2つのシフトによる勤務体制です。

【勤務時間例】
・日勤 8:00~17:00(8時間勤務)
・夜勤 16:30~9:00(休憩2~3時間を含み16時間勤務)

夜勤の回数は月に4~6回ほどで、夜勤の翌日は休みになるようにシフトが組まれます。

二交代制のメリット
  • 休日が多い
二交代制のデメリット
  • 夜勤の拘束時間が長い

一方で三交代制は、「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3シフト制となっています。

【勤務時間例】
・日勤 8:30~17:00(8時間勤務)
・準夜勤 16:30~00:30(8時間勤務)
・深夜勤 0:00~9:00(8時間勤務)

準夜勤と深夜勤の回数はそれぞれ月に4~5回程度です。

両方の勤務体制を合わせると、夜勤としては月に9回前後担当することになります。

三交代制のメリットは勤務時間が8時間ということ。デメリットはシフトの回転が早く連休が取りづらいことなど

特に20~30代の若い看護師は休日をしっかり取れる二交代制を望む声が多いことなどから、最近は二交代制を採用している病院が増えています。

看護師の「ワーク・ライフ・バランス」について

看護師になったとしても、数年で離職してしまうケースがあります。

離職率が高いのは、20代後半から30代にかけての年齢層です。

ちょうど結婚・出産というライフイベントを迎える彼女たちにとって、看護師として働き続けるのは簡単なことではありません。

こういった状況を改善するため、日本看護協会は、看護師のワーク・ライフ・バランスの実現に向けて積極的な働きかけを行っています。

なかでも、ライフイベントに応じて働き方を選択できる「多様な勤務形態」の普及に力を入れてきました。

多様な勤務形態例
  • 働く時間の長さが選択可能:1日5時間・週5日勤務、1日8時間・週4日勤務など
  • 働く時間帯・曜日の選択が可能:時差出勤、フレックスタイムなど
  • 交代制の働き方が選択可能:同一の病棟内で二交代、または三交代の選択や、夜勤をする時間帯・回数の選択など
  • 常勤と非常勤、勤務形態の選択が可能
  • 勤務地限定制度など働く場所の選択が可能など

上記のように多様な働き方が実現すれば、辞めざるを得なかった看護師も働き続けられます。

結婚・出産、後には介護など、さまざまなライフイベントに立つ看護師が、仕事と生活を両立できる日がくるのもそれほど遠い話ではなさそうです。

看護師のキャリアアップと現実

看護師のキャリアアップと現実

看護師を目指してみようと考えたところで気になるのは、収入を含めたキャリアアップがどれほど見込めるかということでしょう。

ここでは看護師としてのキャリアアップの現状を解説していきます。

看護師のキャリアアップと現実

  • 看護師のキャリアアップにつながる人気の資格
  • 専門性を高めることで看護師としての可能性は広がる
  • 認定・専門看護師手当は月額平均3,000~20,000円

看護師のキャリアアップにつながる人気の資格

医療の高度化にともない、専門知識・技術を持った看護師がこれまで以上に必要とされています。

専門分野において高い知識と技術があることを証明するのが「資格」です。

看護師に人気が高いのは、日本看護協会が認定する専門看護師認定看護師

今後、看護師としてキャリアアップしていくうえで大きな強みとなる資格と言えます。

専門看護師とは
水準の高い看護を効率よく行うための技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師。「専門看護分野」ごとに日本看護協会が認定

専門看護師ってどんな看護師?日本看護協会

専門看護師は、一度認定されたら生涯有効ではなく、5年ごとに資格を更新しなければなりません。

2018年12月現在、全国で2,279人の専門看護師が活躍しています。

認定看護師とは
高度化し専門分化が進む医療の現場において、水準の高い看護を実践できると認められた看護師。「認定看護分野」ごとに日本看護協会が認定

認定看護師ってどんな看護師? 日本看護協会

認定看護師についても5年ごとの資格更新があり、日々の努力が求められます。

2019年7月現在、全国で20,960人の認定看護師が活動しています。

専門性を高めることで看護師としての可能性は広がる

全国に約137万人(2019年末現在)の看護師が存在することを考えると、専門看護師や認定看護師になることは容易でないことが想像できます。

出典:看護師修行状況 日本看護協会

専門看護師制度は1994年、認定看護師制度は1995年に発足したものですが、今だ待遇のあり方が定まっておらず勤務先によって大きな差があります。

とは言え、ガン治療や小児治療を専門とするなど、特性のある医療機関にマッチした専門看護師に対する昇給・昇進の可能性は高くなるでしょう。

資格があることで、給与面での条件交渉に応じてもらえる可能性も高くなります。

また、医療現場も社会情勢の影響を受けて多様化していくと見られています。

今後、専門分野の知識や経験が求められるようになれば、活躍の場も広がり、待遇も上昇する潜在力を秘めていると言えるでしょう。

認定・専門看護師手当は月額平均3,000~20,000円

専門性の高い看護師の活動により、看護ケア全体の質向上につながっているのは事実です。

しかし現状では、有資格手当として月額3,000~20,000円が月給に上乗せされる程度で、明確な評価・処遇が設定されていないケースも少なくありません。

そこで日本看護協会では、賃金についての新たな考え方「看護職のキャリアと連動した賃金モデル」を提案しています。

これまでは、勤続に基づく年功での評価により管理職となるキャリアアップが一般的でした。

しかし、新たな「複線型等級制度」では、本人の希望に応じたキャリアの中で専門性を高め、職務や役割に応じた評価を受けます

複線型等級制度

画一的な人事制度ではなく、病院などの同施設内に複数のキャリアコースが並立する多元的な人事管理システム

今後、全国の医療施設で新たな賃金モデルが採用されていけば、看護師のモチベーションアップにつながる働き方が期待できます。

【FAQ】看護師について多い質問

【FAQ】看護師について多い質問

最後に、看護師の資格に関して多く寄せられる質問とその回答をご紹介します。

【FAQ】看護師について多い質問

  • 看護学校の学費はどれくらいですか、また奨学金等はありますか?
  • 結婚したり、子どもが生まれたりしても働き続けられますか?
  • 看護師として海外で働くことは可能ですか?

Q. 看護学校の学費はどれくらいですか、また奨学金等はありますか?

日本看護協会によると、看護学校でかかる年間の学費は以下の通りです。

  • 国公立:大学・短期大学60〜80万円台、看護専門学校10〜50万円台
  • 私立:大学・短期大学100〜200万円台、看護専門学校20〜100万円台

出典:よくあるご質問と回答|日本看護協会

また奨学金は、都道府県・市区町村の看護師等修学資金日本学生支援機構の奨学金個別の病院や病院グループ独自の奨学金制度などがあります。

貸与額や貸与条件、返済方法もそれぞれの奨学金制度によって異なります。

卒業後のキャリアプランも考えたうえで、最適な奨学金制度を選ぶことをおすすめします。

Q. 結婚したり、子どもが生まれたりしても働き続けられますか?

看護師の資格は一度取得すれば更新の必要もなく、生涯有効です

医療ニーズの高まりにともない、看護師としても知識のアップデートが求められるため日々の勉強も必要ですが、やりがいのある仕事と言えるでしょう。

最近は、育児休暇や短時間正職員制度など、看護師が長く働き続けられるような環境づくりが促進されています。

社会的需要も常に高く、例え結婚や出産などでキャリアを中断したとしても再就職の際にも有利です。

Q. 看護師として海外で働くことは可能ですか?

現時点では、世界の国々で通用する特定の看護師の免許は存在しません

看護師は国家資格のため、それぞれの国で取得する必要があります。まず、日本の看護師免許を目指してはいかがでしょうか。

国によっては、日本で看護師としての資格を取得していることを条件に、試験などが免除されるケースもあります。

詳しくは、日本看護協会のホームページを参考にご覧ください。

また、海外で看護師として働いたり、医療ボランティアとして活動したりする場合、医療の知識以外にも必要なスキルがあります。

英語など外国語でのコミュニケーション力を身につけておくことも忘れないでください。

看護師の目指し方について改めておさらい

看護師の目指し方について改めておさらい

ここまで、看護師の目指し方や、仕事・キャリアアップに関わる事柄について解説してきました。

看護師と言えば夜勤など厳しい仕事環境をイメージしますが、日本看護協会などの働きかけや社会情勢により、その状況も改善されつつあります。

今後も看護師の需要は高まっていくとともに、キャリアアップの幅が広がっていきます。一度、資格をがんばって取得すれば、やりがいを持って長く活躍できるでしょう。

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