産後の職場復帰を考えるうえで避けて通れない「保活(ほかつ)」。
最近は保活をスムーズにするためのアプリが登場したり、厚生労働省主導による全国保育所一覧サイトが予定されたりして注目を集めています。
ひとくちに「保活」と言っても、居住地域によって色々な保育園があり、どこから当たっていけば良いのか分からないという人もいるでしょう。
そこで本記事では、保活を始める時期や保育園の選び方とコツを解説し、未来のワーキングマザーが抱える不安を解消していきます。是非参考にしてください。
- 保活の開始時期は出産後6ヵ月以降、または10月~11月頃から
- 認可保育園の認定区分や「基準指数」「調整指数」を理解しておく
- 認可保育園以外にも特徴ある様々な保育園の種類と選択肢がある
そもそも保活とは
保活とは、子供を希望する保育園へ入れるための活動の総称です。
夫婦共に仕事をする共働き世帯は年々増加しており、平成9年以降は共働きが専業主婦のいる家庭の数を上回るようになりました。
保活では、保育園の情報集めから見学・入園申請・決定まで、さまざまなアクションをとらなければなりません。
待機児童の多い地域では、保活の開始時期が遅れると、希望の保育園に入園できないだけでなく、入園できない場合もあります。
保活を始める時期や進め方を抑え、計画的に行動しましょう。
保活を始める時期はいつから?
保活を始めるならば、「早ければ早いほど良い」と聞いたことがあるかもしれません。
実際、保活経験者はいつ頃から保活を始めたのでしょうか?
厚生労働省の調査結果を紹介します。
保活を始める時期はいつから?
- 保活の開始時期は出産後6ヵ月以降が最も多い
- 10月~11月頃から次年度の春の入園募集が始まる
- 早生まれの子は認可園以外の選択を中心に保活をする
保活の開始時期は出産後6ヵ月以降が最も多い
厚生労働省「保活の実態調査」によると、保活の開始時期で最も多かったのが「出産後6ヵ月以降」(23.0%)。
次いで、「出産後6ヵ月未満」(22.1%)、「子供が1歳を超えた頃」(18.4%)となっています。
また、妊娠中(15.5%)や、妊娠前に保活を開始した人(4.1%)もいます。
出典:厚生労働省「保活」の実態に関する調査の結果_0721 第3版
早めに情報収集するなどの準備をしておくことも大切ですが、保育園によっては0歳児から利用できる所や、「生後57日目以降」「生後6ヵ月以降」など月齢の条件があります。
保育園の利用開始時点で、わが子は何ヵ月なのかということも考えて保活を始めることもポイントです。
10月~11月頃から次年度の春の入園募集が始まる
1年で入園の最大の機会となるのは、卒園後で進級がある4月です。
4月入園の申込みは当然ながら集中するため、通常、前年度の10~11月頃から受付開始をする自治体が多いようです。
そのため、季節で言えば秋ごろから保活を始める人は多いでしょう。
早生まれの子は認可園以外の選択を中心に保活をする
保育園のクラスは子供の年齢別で分けられ、入園を希望する年度の4月1日時点の年齢を基準とするのが一般的です。
早生まれの子の入園時期は通常生まれた翌年4月で、子供の年齢は1歳になっています。
また、認可保育園の1歳児クラスは高倍率であるケースが多いようです。
1歳になる前に入園を試み0歳児クラスを狙おうとしても、生後6ヶ月未満の子供が入園できる認可保育園は限られているのが実情に。
以上のような理由から、早生まれの子供の場合は認可保育園以外を中心に保活をする必要がありそうです。
保活の始め方と必要な準備・知識
保活を始めるうえで知っておきたい、必要な準備や保育園の利用条件などの基本知識について解説します。
保活の始め方と必要な準備・知識
- 入園基準や審査など保育園の基本情報を理解する
- 市区町村の役所やインターネットで情報収集を行う
- 入園を希望する保育園への見学と申し込み手続き
1.入園基準や審査など保育園の基本情報を理解する
認可保育園を希望する場合、今住んでいる市町村から利用のための認定を受けなければなりません。
認定の基準となるのは子供の年齢や、「保育を必要とする事由」に該当するか否か。
この結果により、「1号」か「2号」、または「3号」のいずれかに認定されます。
また、「保育を必要とする事由」は、下記に該当していることが条件です。
認定された区分によって利用できる施設(認可保育園や認定こども園、小規模認可保育園など)が決まってきます。
1号認定は、子供が3〜5歳で「保育を必要とする事由」に該当しない場合です。認可保育園は利用できませんが、認定こども園や幼稚園に入園可能。
2号認定は、子供が3〜5歳で「保育を必要とする事由」に該当する場合です。認可保育園と認定こども園が利用できます。
また、3号認定は、子供が0歳〜2歳で「保育を必要とする事由」に該当する場合となります。認可保育園と認定こども園のほか、小規模認可保育園の利用が可能に。
認定の必要がないと判断された場合でも、必要に応じて、一時預かりなどの支援が利用できるので安心です。
また、保育園への希望者が定員を超えた時は、「基準指数」と「調整指数」で入所優先順位を決定し、審査することがほとんどです。
「基準指数」とは、就労状況や健康状態など、保護者の基本情報をポイント化した指数のこと。
一方で「調整指数」とは、家庭の状況(母子家庭、子供に障害があるなど)に合わせて加点、または減点の調整をする指数です。
基準指数と調整指数の合計が高いほど、優先的に保育園に入園することができます。
これら指数の基準は地域によって異なりますが、公開している自治体もあるので確認してみましょう。
2.市区町村の役所やインターネットで情報収集を行う
保活は、自分の住んでいる地域にある保育園の情報を集め、わが子の入園が可能な保育園を知るところからスタートします。
保育園の情報はインターネットでも集められることが多く、隙間時間などを利用して効率よくチェックしておくと良いでしょう。
自治体のサイトも必ず閲覧しておくこと。
そのうえで正確な最新情報を把握するため、市区町村の役所に直接足を運ぶことがポイントです。
役所では認可保育園や地域型保育施設など、さまざまな種類の保育園が掲載された案内冊子やパンフレットをもらうこと。
また、待機児童の状況や申込み書の書き方など、なるべく多くの情報を集めておくと良いでしょう。
申込みの時期についてもきちんと確認しておくと安心です。
3.入園を希望する保育園への見学と申し込み手続き
入園候補を決めたら、保育園を見学しましょう。
直接保育園に問合せをし、見学できる曜日や時間帯を確認。予約が必要な所もあります。
入園を希望する保育園が複数あるのは当然なので、できれば全て見学しましょう。
1日でいくつかの保育園を効率よく見学できると後々楽です。
気に入る保育園が見つかったら、次は入園申込みの手続きです。
役所などで配布している申込書には、希望する保育園名が第5希望くらいまで複数書けるようになっている場合が多いようです。
少しでも入園できる可能性の高い保育園に絞り込むことがポイントに。
過去の「指数」情報を調べることができたら、自分より低い指数で入園できた人がいる園から優先的に書いていくと手堅く、入園できる可能性が高くなると言われています。
保育園の種類と選び方【特徴を比較】
保活の知識を得たところで、次は保育園の種類を解説し、その特徴を比較していきます。
まずは多くの人が第1希望として考える「認可保育園」について見ていきましょう。
保育園の種類と選び方【特徴を比較】
- 国の基準を満たし自治体の認可を得ている「認可保育園」
- 認可保育園に近い「認定こども園」「小規模認可保育園」
- 利用者が払う保育料が高めの「認可外保育園」という選択
国の基準を満たし自治体の認可を得ている「認可保育園」
認可保育園は、施設の広さや設備、保育士数、その人員配置など国の定める基準に従い、都道府県知事から認可を得て運営されています。
保護者が仕事や病気などの理由で、0歳~小学校就学前の子供の保育ができない場合に、子供を預かって保育する児童福祉施設です。
区市町村が運営する公立と社会福祉法人などが運営する私立がありますが、認可保育園は公費により運営されています。
国基準の保育環境が確保されているうえ、保育料も比較的安いことから、認可保育園を目標にしている人が多くなっています。
認可保育園に近い「認定こども園」「小規模認可保育園」
幼稚園や保育所などが、教育と保育の両方の機能を提供するという特徴を持った、「認定こども園」。
都道府県知事が条例に基づき認定する施設で、保育環境は認可保育園に近いと言えます。
また、「小規模認可保育園」いう国の認可事業として位置づけられている保育園もあります。
認可保育園や認定こども園より少人数の単位で、0~3歳児未満の子供を預かる施設です。
1人の保育担当者が見守る子供の数が少ないため、それぞれの子供に応じたより手厚い保育が提供される特徴があります。
このように、実態は認可保育園とほぼ同じという施設も多くあります。
利用者が払う保育料が高めの「認可外保育園」という選択
認可保育園としての基準を満たせない施設と考える人もいるかもしれませんが、認可外保育園にもいろいろな種類があります。
認可水準を満たしながらも認可外保育園を選択したり、認可保育園と認可外保育園を併設したりすることで幅広いニーズに応えるという施設もあるのです。
例えば、東京には「認証保育所」という東京都独自の基準により設置された施設があります。
認可保育園よりも開所時間が長く、全施設で0歳児保育を行うなど、共働き世帯などの都市型保育ニーズに対応しているのが特徴。
サービス内容や保育料は施設が自由に設定できるようになっています。
公的助成金を受けず、基本的には利用者が支払う保育料だけで運営されているため、保育料は高めです。
認可外保育園だからといって認可保育園よりも劣っていると考えずに、今の自分の実情に合った保育園ということで言えば、認可外保育園という選択が最適になる場合もあります。
【FAQ】保活について多い質問
最後に、ここまで取り上げられなかった保活に関してよくある質問に答えていきます。
【FAQ】保活について多い質問
- 0歳児クラスへの入園が有利と言われるのはなぜ?
- 子供を預けて働きたい。保活と就活どちらが先?
- 秋や冬の時期など、4月入園以外の途中入園は可能?
Q. 0歳児クラスへの入園が有利と言われるのはなぜ?
新学期が始まる4月、0歳児クラスに在籍していた子供たちが1歳児クラスに進級すると、0歳児クラスは定員分の空き枠がでることになります。
このため、0歳児クラスへは入りやすいことから有利と言われているのです。
一方、1歳児クラスは0歳から在園中の子供がそのまま進級することが多く、定員分の空き枠に余裕がないことから激戦になりやすいようです。
Q. 子供を預けて働きたい。保活と就活どちらが先?
激戦区の認可保育園を希望している場合、共働きでないと入園は難しいかもしれません。
認可保育園の入園を目指しつつ、まずは認可外保育園などを視野に入れ、すぐに子供を預けられる保育園を確保してから就活するというのがおすすめです。
認可外保育園は共働きか否かに関係なく、空き枠さえあれば入園可能です。
ただし、保育料は高額になるかもしれません。
認可外保育園にお子さんを入園させて就活。仕事を開始して認可保育園を待機し、空き次第入園という流れが現実的だと考えられます。
Q. 秋や冬の時期など、4月入園以外の途中入園は可能?
保育園児が定員数に達している保育園を希望する場合、在園する園児の誰かが保育園を辞め、空き枠ができたタイミングでしか入園できる可能性はありません。
ただし、保育園が新設されたり、新たな保育士を確保できたことで、より多くのお子さんを受け入れたりする保育園が出てくることも考えられますが、基本的には4月入園が一般的です。
保活を始める時期と保育園の選び方・コツまとめ
保活を始める時期や保育園の種類、選び方のコツなどを解説してきました。最後にここでまとめをしましょう。
- 保活の開始時期は出産後6ヵ月以降、または10月~11月頃から
- 認可保育園の認定区分や「基準指数」「調整指数」を理解しておく
- 認可保育園以外にも特徴ある様々な保育園の種類と選択肢がある
保活の開始時期は、保活経験者の中では出産後6ヵ月以降が最も多く、10月~11月頃から次年度の春の入園募集が始まるため、それに合わせて始める人が多いようです。
また、早生まれの子は0歳児クラスだけでなく、1歳児クラスの利用が容易ではないため、認可園以外の選択を中心に保活をするのが賢明なようです。
保活の始め方としては、入園基準や審査など保育園の基本情報を理解し、市区町村の役所へ足を運んだり、インターネットで情報収集を行うことで、わが子の入園が可能な保育園を知ることから始まります。
入園を希望する保育園への見学をすること、また、申し込み手続きには「指数」にコツがあることを説明しました。
保育園には、「認可保育園」以外にも、「認定こども園」「小規模認可保育園」「認可外保育園」という種類があり、実態は認可保育園とあまり変わらない保育環境が整えられていたり、ニーズに応じたサービスを提供したりする施設があります。
初めて保活を経験する人にとっては戸惑いも多いことでしょうが、情報収集から始まる保活の流れを把握して自分の実情に合った計画を立て、余裕をもって行動できるようにしてください。