2020年4月に改正労働者派遣法が施行され、「同一労働同一賃金」が導入されることになりました。
派遣社員と正社員の格差が縮まることが期待されるため、この機会に派遣で働いてみようと考える人もいるかもしれません。
派遣で働きたいと考えたときに、どの派遣会社を選んだらいいか迷うことがあるのではないでしょうか。
この記事では人気がありおすすめの派遣会社を、待遇や時給などに関する評判を比較しつつ、ランキング形式で紹介します。
こんな方におすすめ
- 派遣会社を選ぶポイントを知りたい人
- 派遣の働き方の違いについて知りたい人
- おすすめの派遣会社を知りたい人
- 派遣会社は求人案件の豊富さ、担当のサポートの良さなどを判断基準に選ぶとよい
- 派遣の働き方は登録型派遣、常用型派遣、紹介予定派遣の3種類
- ランキング上位はリクルートスタッフィング、パーソルテンプスタッフ、パソナ
派遣会社を選ぶときのポイント
派遣会社を選ぶときのポイント
- 希望条件に近い求人案件があるかどうか
- 担当者のサポートが手厚いかどうか
- 研修制度や福利厚生が充実しているかどうか
- 優良派遣事業者認定があるかどうか
- 評判が良いかどうか
希望条件に近い求人案件があるかどうか
派遣会社を選ぶ上で最も重要なのは、求人案件の豊富さです。
扱っている求人件数の総数というよりは、自分の希望する仕事内容や勤務条件での求人数がどのくらいあるのかをよく調べておきましょう。
例えば、以下のような条件が考えられます。
- 未経験からでも挑戦できる仕事
- 時給が高めな仕事
- 勤務時間がライフスタイルに合っている仕事
- 通勤しやすい勤務地での仕事
- スキルが身につくなど将来性がある仕事
大手と言われるような派遣会社では、数千件以上の求人を常時保有していますので、希望内容に近い求人案件がある可能性が高いです。
希望する職種が明確で、その職種に特化している派遣会社であれば、小規模であってもかまわないでしょう。
担当者のサポートが手厚いかどうか
派遣先の希望条件を伝えたり、派遣先を紹介してもらったり、キャリアや生活についての相談に乗ってもらったりと、派遣で働く場合には派遣会社の担当者にお世話になる場面が多くなります。
派遣先に伝えたい要望があったり何かトラブルが生じたりした場合にも、担当者に仲介役としてサポートしてもらうことになります。
そのため、担当者の対応の丁寧さやサポートの充実度はとても重要です。
営業成績などよりも派遣スタッフのことを重視して親身に対応してくれる担当者かどうかを見極める必要があります。
研修制度や福利厚生が充実しているかどうか
派遣会社では、基本的なビジネスマナーやパソコンスキルなどの研修を行っているところが多いです。
事務職向けの研修などを行っているところもあり、未経験や初心者でも働き始めやすくなっています。
また、派遣であっても、年金や健康保険や雇用保険などの法律で決められた福利厚生は受けることができます。
それに加えて、保養施設の利用割引やスキルアップ補助などの派遣会社独自の福利厚生を提供しているところもあります。
出産や育児関連で何らかの補助を受けられる派遣会社も増えてきています。
研修制度や福利厚生は派遣会社のアピールポイントでもありますので、ウェブサイトなどでよく確認しておきましょう。
優良派遣事業者認定があるかどうか
派遣会社を公的に認定する制度として、優良派遣事業者認定制度があります。
この制度では、
- 各種関連法令の遵守
- 派遣社員のキャリア形成支援
- より良い労働環境の確保
- 派遣先でのトラブル予防
などについて審査され、派遣社員と派遣先双方に対して一定の基準を満たしたサービスを提供できていると判断された派遣事業者だけが、優良派遣事業者に認定されます。
この認定には3年の有効期間があるほか、いったん認定された後でも申請要件を満たさなくなったり法令違反等の取消事由が発生したりした場合に認定を取消されることもあります。
ここで、厚生労働省の「労働者派遣事業報告書」(平成30年度報告)の集計結果によりますと、派遣会社は全国に38,128社あります。
しかし、2020年4月上旬時点で優良派遣認定事業者として登録されているのは168社だけでした。
全派遣会社のうち、認定マークの使用が許されているのはわずか0.44%の派遣会社のみということになります。
評判が良いかどうか
優良派遣事業者認定のような公的な認証に加えて、実際の評判もチェックしておくと万全です。
友人知人や同僚スタッフなどに直接話を聞いてみることもできますし、ウェブで「(派遣会社名) 評判」や「(派遣会社名) 口コミ」などのキーワードで検索すると、大量の情報を入手することができます。
現場のリアルな感想や評判から、公式ウェブサイトだけではわかりにくい派遣会社の実態を調べておきましょう。
ただし、これらの口コミ情報は主観的なものが多く含まれている傾向があります。
大手派遣会社には担当者が大勢いるため人によって対応は異なりますし、利用者によって受け止め方は変わってきます。
ネガティブな情報があってもそのまま真に受けたりせず、参考程度に留めておくのがおすすめです。
雇用形態による業務内容と給与の違い
雇用形態による業務内容と給与の違い
- 登録型派遣について
- 無期雇用派遣について
- 紹介予定派遣について
登録型派遣の業務内容と給与
登録型派遣は一般派遣とも呼ばれており、派遣の働き方3つのなかで最も人数が多くなっています。
手順としては、派遣で働きたい人が派遣会社に登録すると、派遣会社から仕事を紹介してもらえます。
就業が決まると、派遣先企業と派遣会社との間で結ばれる派遣契約と同じ期間だけ、派遣会社と有期雇用契約を結びます。
有期雇用契約期間中は派遣会社から給与が支給されますが、登録だけで就業していない状態では雇用契約がないため無給です。
登録型派遣の業務内容と給与
登録型派遣の業務内容としては一般事務などの事務職が多く、残業や休日出勤は基本的にありません。
給与は主に時給制で、どこの派遣先企業に派遣されるかによって異なります。
1ヶ月の収入はアルバイトよりは多くなり、20代前半では正社員並みになるところもあります。
登録型派遣のメリットとデメリットをまとめました。
- ライフスタイルに合った働き方が可能
- アルバイトよりも時給が高め
- 残業や休日出勤がほぼないので余暇が充実する
- 収入が多い月もあれば少ない月もあり安定しにくい
- 時給が上がりにくく将来的に正社員と大差になりがち
- 不況時などはいわゆる「派遣切り」に遭いやすい
常用型派遣の業務内容と給与
常用型派遣は無期雇用派遣とも呼ばれています。
登録型派遣とは異なり、派遣会社と無期(期間の定めのない)の雇用契約を結んだ後に、派遣先企業に派遣されて就業します。
ある派遣先での就業期間が終了しても派遣会社との雇用関係は終了せず、次の企業先に派遣されて継続して就業することになります。
常用型派遣では常に派遣会社との雇用関係が成立しているので、安定して毎月の給料が支払われます。
また、登録型派遣では同一の派遣先で3年を超えて働けないという「3年ルール」がありますが、常用型派遣の場合はこのルールの適用外です。
無期雇用されていることもあり、中長期的なキャリアの展望を描きやすくなります。
ただし、常用型派遣として働くためには、派遣会社による選考に合格するか、「5年ルール」により無期転換されるかなどする必要があります(5年ルールに関しては、厚生労働省の有期契約労働者の無期転換ポータルサイトをご覧ください)。
また、基本的に派遣会社に指示された派遣先で働くことになり、派遣先を選択する自由はあまりありません。
常用型派遣の業務内容と給与
業務内容としては、常用型派遣でも登録型派遣と同じく事務職が多めな傾向がありますが、今後はより多くの職種での採用が見込まれています。
給料は派遣会社が設定した月額による月給制というのが一般的です。
月給制ですので、登録型派遣よりも収入の見通しが立てやすくなります。
なお、厚生労働省の調査によると、常用型派遣(無期雇用派遣)の労働者数は対前年比で大幅に増加しており、登録型派遣(有期雇用派遣)の半分以上の割合になっています。
【令和元年6月1日現在の状況概要】
1 派遣労働者数 約157万人(対前年比:17.3%増)
(1)無期雇用派遣労働者 550,625人(対前年比:41.3%増)
(2)有期雇用派遣労働者 1,015,174人(対前年比:7.3%増)
厚生労働省|労働者派遣事業の令和元年6月1日現在の状況(速報)
常用型派遣のメリットとデメリットは次のとおりです。
- 月給制で収入が安定する
- 無期雇用なので雇用も安定する
- 中長期のキャリアを想定しやすくなる
- 派遣先を選択する余地が少なめ
- 基本的にフルタイム勤務になる
- 採用選考や無期転換5年ルールの壁がある
紹介予定派遣の業務内容と給与
紹介予定派遣は、将来的に派遣先で直接雇用されることを前提として一定期間(最長で6ヶ月)派遣社員として働き、その後お互いが合意すれば直接雇用される、という働き方です。
派遣期間中は派遣会社と雇用関係がありますが、直接雇用された場合は派遣先であった企業との雇用関係に切り替わることになります。
最長6ヶ月の派遣期間中に、双方が職務への適性や職場との相性などを充分確認できるため、雇用のミスマッチの可能性が低くなるという特徴があります。
紹介予定派遣で働くためには採用選考に合格しなければなりませんが、選考さえ通れば直接雇用される確率は高いといえます。
正社員を目指して転職活動をするのと比べると時間はかかりますが、派遣会社から直接雇用への後押しを受けられるなどのメリットもあります。
紹介予定派遣の業務内容と給与
紹介予定派遣でも事務職が中心ですが、営業や経理や企画などの職種でも募集が多くなっています。
派遣期間中は登録型派遣と同様に時給制で働くことになりますが、直接雇用された後は派遣先企業の規定による給与を受け取ります。
収入や福利厚生など、派遣のときに比べて待遇がアップすることが期待できます。
正社員になって業績を上げることができれば、昇格や昇給などもあります。
紹介予定派遣の主なメリットとデメリットをまとめました。
- 将来的に直接雇用される可能性が高い
- 雇用のミスマッチの可能性が低い
- 収入アップや待遇アップが期待できる
- 選考の難易度が高め
- 直接雇用といっても契約社員のことがある
- 最初から正社員入社を目指したほうが早い
派遣会社おすすめランキング6選
派遣会社おすすめランキング6選
- ランキング方法と結果
- リクルートスタッフィング
- パーソルテンプスタッフ
- パソナ
- スタッフサービス
- アデコ
- ランスタッド
ランキング方法と結果
ここからは派遣会社をランキング形式で紹介していきます。
以下の5記事を参考にし、合計6つの項目について集計しました。
労働時間の満足度 | 人材サービス業界の””労働時間の満足度が高い企業””ランキング |
ホワイト度 | 人材サービス業界の「ホワイト度が高い企業ランキング」 |
派遣会社満足度 | 「派遣会社満足度ランキング2019」最も満足度が高かった会社は? |
継続就業意向度 | 「派遣会社満足度ランキング2019」最も満足度が高かった会社は? |
担当者の対応 | 担当者の対応が良い派遣会社TOP3 |
顧客満足度 | 人材派遣会社のランキング・比較 |
以上6つの項目の半数(3つ)以上のランキングに登場した派遣会社のうち、1位を5点とし、以下2位が4点・・・5位が1点となる加点方式で算出し、順位を決定しています。
ランキング結果は以下のとおりです。
総合順位 | 派遣会社名 | 合計点 | 労働時間の満足度 | ホワイト度 | 派遣会社満足度 | 継続就業意向度 | 担当者の対応 | 顧客満足度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | リクルートスタッフィング | 20点 | 2位 | 1位 | 2位 | 1位 | 6位 | 4位 |
2位 | パーソルテンプスタッフ | 18点 | 3位 | 2位 | 1位 | 4位 | 1位 | 6位 |
3位 | パソナ | 16点 | 5位 | 3位 | 3位 | 3位 | 3位 | 3位 |
4位 | スタッフサービス | 13点 | 1位 | 4位 | 4位 | 圏外 | 2位 | 13位 |
5位 | アデコ | 3点 | 圏外 | 圏外 | 5位 | 圏外 | 5位 | 5位 |
5位 | ランスタッド | 3点 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | 5位 | 4位 | 7位 |
全国で事業を展開していて知名度があり、多様な業種の多数の求人を扱っている大手派遣会社が並ぶ結果となりました。
これら6つの派遣会社について1位から順に紹介していきます。
リクルートスタッフィング
出典:派遣のお仕事、派遣登録なら【リクルートスタッフィング】
ランキングで堂々の1位に輝いたのはリクルートスタッフィングでした。
参考にしたランキングの6つ全てに登場し、ホワイト度と継続就業意向度で1位、労働時間の満足度と派遣会社満足度で2位という、圧倒的な評価を受けての1位となっています。
継続就業意向度では「求人の量の多さ」だけでなく「自分に合った派遣先が多そう」というのが判断理由の1位の挙げられており、リクルートスタッフィングはその声に応えられる派遣会社ということになります。
総合人材サービスで国内最大手のリクルートグループが長年培ってきた人材サービスのノウハウときめ細かいバックアップ体制で、派遣登録スタッフを総合的にサポートしてくれます。
リクルートスタッフィングのウェブサイトでは、選ばれる理由として次の4つが挙げられています。
- 理由1:人気企業のお仕事が多く、バリエーションも豊富
- 理由2:信頼のリクルートグループ
- 理由3:選べるスキルアップ研修
- 理由4:充実の福利厚生・サポート
パーソルテンプスタッフ
パーソルテンプスタッフはリクルートスタッフィングと同様に全てのランキングに登場しています。
派遣会社満足度と担当者の対応で部門1位となり、総合ではリクルートスタッフィングと僅差となる2位でした。
派遣会社満足度で1位になった理由としては、「優しく親切で親しみやすい」が多かったようです。
担当社の対応では、「担当者が親身になってくれるから」「担当者がよく話を聞いてくれるから」などが高評価の理由になっており、パーソルテンプスタッフの雰囲気の良さを窺い知ることができます。
常時30,000件という、業界最大級の求人件数を取り扱っています。
パーソルテンプスタッフのウェブサイトでは、選ばれる理由として次の3つが挙げられています。
- 業界トップクラスの求人数
- きめ細やかなサポート体制
- 充実の福利厚生&スキルアップ研修
対面で丁寧にヒアリングし、一人ひとりに会った働き方や仕事探し、今後のキャリアプランを一緒に考えてくれます。
パソナ
ランキング総合3位はパソナです。
1位2位と同様に全てのランキングで5位以内に入賞し、そのうち3位が5つという隙のなさで見事にトップ3入りを果たしています。
担当者の質の高さと誠実な仕事ぶりを評価する声が多かったようです。
パソナのウェブサイトには、働く女性の写真が多く使用されています。
また、パソナで働くメリットとして次の4つが挙げられていました。
- あなたを支える豊富な福利厚生
- 研修・キャリアコンサルティング
- あなたにあった色々な働き方が選べる
- 女性の就職支援
スタッフサービス
スタッフサービスはトップ3入りこそ逃したものの、労働時間の満足度で1位、担当者の対応で2位を獲得したのが上位進出の原動力となりました。
担当者がよく連絡をとってくれるのが高い評価の主な理由でした。
ウェブサイトではスタッフサービスグループが選ばれる理由として次の3つを挙げています。
- 多様な職種や働き方に対応
- 全国各地に事務所を展開
- 積み重ねた信頼と実績
事実、登録型派遣、常用型派遣、紹介予定派遣の3つのほか、転職支援サービス(職業紹介)も行っており、求人案件数は11万件以上も取り扱っています。
なお、スタッフサービスグループは2007年からリクルートの子会社になっています。
アデコ
出典:派遣の仕事・派遣社員の求人・派遣会社をお探しなら【アデコ】へ
総合5位になったのはアデコで、派遣会社満足度と担当者の対応と顧客満足度で5位でした。
ウェブサイトを見ると、アデコが選ばれる理由は以下の3点です。
- 私のバリューが見えてくる
- 働く私に、ストーリーが生まれる
- 私を充たす、職場と出会える
また、2020年4月からの同一労働同一賃金の導入に対応して、派遣社員の待遇が以下のように変更されました。
- 通勤手当:2020年4月1日以降の契約より、1か月電車定期代の支給スタート
- 半休制度導入:2021年4月からスタート予定
ランスタッド
出典:ランスタッド(Randstad)の求人・転職・派遣情報
アデコと同点で5位のランスタッドは、継続就業意向度で5位、担当者の対応で4位でした。
派遣ではオフィス派遣(事務・オフィスワーク)と製造派遣(製造・工場・軽作業)を取り扱っています。
自分に合った派遣会社を選んで充実した派遣ライフを
派遣会社を選ぶポイントやランキングなどについて紹介してきました。
この記事で紹介した内容をまとめます。
- 派遣会社は求人案件、サポート、優良派遣事業者認定、口コミなどを判断基準に選ぶとよい
- 派遣には登録型派遣、常用型派遣、紹介予定派遣の3種類がある
- ランキング1位はリクルートスタッフィング
- ランキング2位はパーソルテンプスタッフ
- ランキング3位はパソナ
派遣会社にはひとつだけしか登録できないわけではありません。(常用型派遣では1つの派遣会社に所属することになります)
特に登録型派遣では複数の派遣会社に登録しておくと選択肢が多くなり、可能性を広げることができます。
しばらく平行して利用してみて、自分にとって最適な会社をメインの派遣会社に決めればよいでしょう。
紹介予定派遣でも、同じ派遣先企業に複数の派遣会社から応募するなどでなければ、いくつかの派遣会社から紹介予定派遣の案件を紹介してもらってもよいでしょう。
また、同じ派遣先でも派遣会社によって時給などの条件が異なるケースも少なくありません。
複数の派遣会社に登録したうえで、最も良い条件を提示している派遣会社から就業するのがおすすめです。
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