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新型コロナウィルス感染拡大の影響で、リストラや雇い止め・派遣切りなどが急増し、次の就職先も探せない不安な状態が継続される恐れがあります。
転職・就職先が決まっていない状態で離職するときに、経済的な支えになるのが失業保険の「失業給付金(雇用保険制度の基本手当)」受給です。
離職後の生活費を一時的ではありますがサポートする支援制度です。
ただ、国の制度はわかりにくく、詳しく知らなかったために失業保険をもらわないでしまうケースも少なくありません。
そこで本記事では、失業保険を受給するための手続き方法や必要な書類、支給額や支払い期間などを徹底解説します。
失業保険の手続きについては難しいイメージがありますが、この記事を読んで、その概要やおさえるべきポイントを理解しておきましょう。
失業保険受給手続きのポイント要約
- 失業保険は正社員だけでなくパート・アルバイトでももらえる
- もらえる期間は90~360日の間、金額は日額8,330円まで
- 妊娠・出産なら受給期間を最長3年まで延長できる
失業保険とは
改めて「失業保険とは何か」を確認しておきましょう。失業保険とは、定職についていた人が仕事を失った際に、働いていなくても毎月お金がもらえる制度です。
支給されたお金は、次の仕事が見つかるまでの生活費の一部として利用できます。
ちなみに「失業保険給付」や「失業給付金」などとも呼ばれますが、正式名称は「雇用保険制度の基本手当」です。
雇用保険制度には失業者の生活を支えるための様々な手当・給付制度がありますが、その中のもっとも基本的な手当、ということになります。
失業保険の詳細
失業保険の制度について詳しく解説します。
失業保険の詳細
- 失業保険は雇用保険を払っていた人がもらえる
- 失業保険の支給額は「退職前の固定給の50%~80%、日額8,330円まで」
- 失業保険はすぐにもらえるわけではない
- 失業保険の受給期間は90~360日
- 妊娠や出産があると受給期間を延長できる
失業保険は雇用保険を払っていた人がもらえる
失業保険はどんな人がもらえるのでしょうか。
失業保険は、雇用保険料を一定の期間支払っていた人がもらえます。
雇用保険は概ね一週間に20時間以上働く人は加入することになります(学生や季節労働者、自営業者などを除く)ので、定職についている多くの人が加入しているはずです。
退職理由によって異なります。自己都合退職の場合は、離職日以前の2年間に通算12ヶ月以上、会社都合退職の場合は離職日以前の2年間に通算6ヶ月以上。
失業保険の支給額は「退職前の固定給の50%~80%、日額8,330円まで」
失業保険は具体的に、いくらもらえるのでしょうか?
おおまかには「退職前の固定給の50%~80%」が支給される、と考えてください。上限額も決まっており、最も大きい額で日額8,330円までです。
詳細な計算方法を解説します。失業保険としてもらえる金額は、次のような計算式で表せます。
「離職した日の直前の6ヶ月に毎月きまって支払われた賃金の合計(※1)」 ÷ 180(※2) × 「給付率(50~80%)(※3)」×失業保険が支給される日数
※1 つまり賞与等を除きます
※2 30日×6ヶ月
※3 給付率は賃金によって異なります。また、60歳~64歳の方の給付率は45~80%となります。
ただし、この計算式による計算結果の金額がそのままもらえるわけではありません。一日あたりの支給上限額は決まっています。
退職前の給与が高かった人に対し、失業保険を必要以上に支給してしまうことを防ぐためです。
失業保険の支給上限額は年齢によって異なり、以下のように定められています(令和2年3月1日現在)。
年齢 | 一日あたりの支給上限額 |
---|---|
30歳未満 | 6,815円 |
30歳以上 45歳未満 | 7,570円 |
45歳以上 60歳未満 | 8,330円 |
60歳以上 65歳未満 | 7,150円 |
【出典】ハローワークインターネットサービス – 基本手当について
失業保険はすぐにもらえるわけではない
失業保険は退職してすぐにもらえるわけではありません。
会社都合での退職や結婚や出産を理由とする退職なら受給が認められてから7日後、自己都合退職なら受給が認められてから3ヶ月後となります。
失業保険の受給期間は90~360日
失業保険が支給される日数は90~360日の間です。
どのくらいの期間失業保険を受け取れるかは、離職理由や年齢、雇用保険に入っていた期間などによって異なります。詳細はハローワークのホームページでご確認ください。
ハローワークインターネットサービス – よくあるご質問(雇用保険について)
妊娠や出産があると受給期間を延長できる
失業保険の受給期間について、特にこれから子どもを産む方には必ず覚えておいていただきたいことがあります。
失業保険をもらっている期間に妊娠や出産を経験する人は、失業保険がもらえる期間を延長することができます。
失業保険をもらっている期間内に、病気やけが、妊娠や出産などの理由で引き続き30日以上働くことができなくなった場合に、受給期間を延長できます。
延長できる期間は再び働けるようになるまでで、最長で3年間です。
手続きにはお住まいのエリアを管轄するハローワークへの申請が必要です。
本人がハローワークに訪れて申請する以外にも、代理人や郵送により申請する方法があります。
申請は、病気やけが、妊娠や出産などの理由で働けなくなった日の翌日以降に行えます。
失業保険をもらう上での注意点3つ
失業保険をもらう上では、次の注意点に気をつけてください。
失業保険をもらう上での注意点3つ
- 被保険者期間の計算に注意
- 厳しい罰則のある「不正受給」にならないよう注意
- 失業保険をもらうと雇用保険の加入期間がリセットされる
被保険者期間の計算に注意
失業保険をもらおうとする上でもっとも注意すべきなのが、雇用保険に入っていた期間です。
失業保険の支給条件にギリギリ届かず、失業保険がもらえない場合があります。このケースについて詳しく解説します。
まずはおさらいです。失業保険をもらうためには、「失業保険は雇用保険を払っていた人がもらえる」の項で説明したように、一定期間雇用保険に入り保険料を納める必要がありました。
この「雇用保険に入っていた期間」のことを「被保険者期間」といいます。
たとえば自己都合退職の場合、退職後に失業保険をもらうには、被保険者期間が通算して12ヶ月以上であることが条件となります。
そして計算してみるとこの「12ヶ月」という期間にギリギリ届かず、失業保険がもらえない、ということがあるのです。
なぜこのような落とし穴にはまってしまうのか、その原因は「被保険者期間」における月数のカウント方法にあります。
「被保険者期間」の計算では、ひと月に11日以上働いた場合「一ヶ月」としてカウントされます。
つまり、ひと月に10日未満の勤務だった場合は一ヶ月分にカウントされないのです。
具体的には、月の途中から働きはじめた場合や欠勤が続いた場合などが考えられます。
これにより、12ヶ月ピッタリ働いたつもりが被保険者期間としては11ヶ月となり、失業保険をもらえないような事態が発生してしまうので、注意が必要です。
厳しい罰則のある「不正受給」にならないよう注意
最も注意しなければいけないのは「不正受給」です。
不正受給とはカンタンにいうと、「ウソをついて失業保険をもらうこと」です。
不正受給をした場合、厳しい罰則が科せられています。具体的には以下のような処罰がされます。
【支給停止】 すべての給付が停止されます。
【返還命令】これまで不正に受給した金額を、全額ただちに返還しなければなりません。
【納付命令】不正受給した金額の2倍を納付しなければなりません。
【延滞金の発生】不正に受給した日以後、全額を返還、納付し終えるまで、年率5%の延滞金が課されます。
【強制処分】返還や納付を行わない場合、財産が差し押さえられます。
【刑事告発】特に悪質な場合は、詐欺罪として処罰されます。
たとえば100万円分の不正受給をしていた場合、
(返済金100万円)+(納付金200万円)+年率5%の延滞金を再納付しなければなりません。
もらっていた3倍以上の金額を返さなければならないため、俗に「3倍返し」と呼ばれます。
では、なぜ不正受給に注意しなければならないのでしょうか。ウソをつくつもりはなくても、申告忘れなどで「不正受給」とみなされてしまうケースがあるからです。
具体的には、以下のようなケースで不正受給となります。
- 実際には行っていない求職活動を、「失業認定申告書」に実績として記すなど偽りの申告を行った場合
- 就職や就労(パートタイマー、アルバイト、派遣就業、試用期間、研修期間、日雇などを含む。)したにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、偽りの申告を行った場合
- 自営や請負により事業を始めているにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、偽りの申告を行った場合
- 内職や手伝いをした事実及びその収入を「失業認定申告書」に記さず、偽りの申告を行った場合
- 会社の役員に就任(名義だけの場合も含む。)しているにもかかわらず、「失業認定申告書」に記さず、偽りの申告を行った場合
- 定年後、「積極的に就職しようとする気持ち」や「いつでも就職できる能力(身体的・環境的)」がなく、しばらく失業給付を受け、受給終了直後に年金を受給しようと考えている者が、「失業認定申告書」により偽りの申告を行った場合
ざっくりカンタンにいうと、
- ほかに収入源があるのに報告しなかった
- 就職活動をしていた、とウソをついた
といった場合です。
注意が必要なのは、失業保険をもらっている間にちょっとしたアルバイトや日雇いの仕事、お金をもらうようなお手伝いをした場合です。このような場合には「失業認定申告書」への記載が必要となります。
たった数百円、数千円の収入のために何百万円も返納しなければならないことだってありうるので、注意しましょう。
失業保険をもらうと雇用保険の加入期間がリセットされる
予定される失業期間が短い場合、あえて失業保険をもらわない方がオトクな場合もあります。
一度失業保険をもらうと、再就職して雇用保険に再加入した際に加入期間がリセットされます。
半年以上雇用保険に入り続けないと失業保険がもらえませんし、またすぐに失業した場合、失業保険をもらえる期間も短くなる場合があります。
失業保険受給の手続きは
失業保険の特徴やメリット・デメリットについてご理解いただけましたでしょうか。
ここからは、失業保険をもらうための具体的な手続き方法について解説します。
失業保険受給の手続きは
- 離職前に手続きをする
- ハローワークで申請する
- 説明会に参加する
- 仕事を探す
- 失業の認定を受ける
- 受給する
離職前に手続きをする
失業保険をもらうためには、会社を辞める前に次のような手続きが必要です。
・雇用保険に加入しているか確認
・離職証明書への署名
・離職票をもらう
雇用保険に加入しているか確認
定職者に対する雇用保険の加入は義務化されていますが、契約内容や所定労働時間によっては雇用保険に加入していない場合もあります。
雇用保険に加入しているか確認しましょう。
具体的には「雇用保険被保険者証」を会社に確認してください。
【出典】ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き
離職証明書への署名
「退職証明書」とも呼ばれます。会社がハローワークに提出するための書類です。
基本的には会社の指示に従い記入すれば大丈夫です。
離職票をもらう
離職票は失業保険をもらいたい個人がハローワークに提出する書類です。次のような2種類の書類です。
【出典】ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き
一般的には離職後郵送により届きますが、会社へ受け取りに行かなければならない場合もあります。紛失してしまう人も多いのでご注意ください。
ハローワークで申請する
お住まいのエリアを管轄するハローワークに行き、手続きをします。
申請に必要な書類は以下です。忘れ物のないように注意しましょう。
- 離職票(2種類)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のうちいずれか一種類)
- 免許証などの身分証明書
- 証明写真(縦3.0cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑
- 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関あり)
説明会に参加する
書類を申請すれば失業保険がもらえるわけではありません。失業保険の受給に関する説明会に参加する必要があります。
正式名称を「雇用保険受給者初回説明会」といい、指定の日時に開催されます。開催日時はハローワークでの申請時に確認ください。持ち物は以下となります。
- 雇用保険受給資格者のしおり(失業保険申請時にもらえます)
- 印鑑
- 筆記用具
仕事を探す
失業保険は基本的に求職活動中の人に支払われます。求職活動とは、具体的には次のような活動のことです。
- 求人への応募(ハローワークに限らず、求人広告や求人サイト経由でもOK)
- ハローワークや民間機関による職業相談や職業紹介
- 就職セミナーや企業説明会への参加
- 就職に有効な国家試験や資格の受験 等
インターネットで求人を探しているだけでは求職活動に該当しませんのでご注意ください。
失業の認定を受ける
さらに、失業者としての認定を継続して受ける必要があります。頻度は原則4週間に1度です。
認定を受けるには指定日にハローワークを訪問する必要があります。その際には以下2点の書類提出が必要となります。
- 失業認定申告書
- 雇用保険受給資格者証
受給する
失業保険はハローワークで申請した口座に振り込まれます。振り込みには、失業の認定を行った日から5営業日ほどかかります。
失業保険の賢い使い方とは
最後に、失業保険を賢く活用する方法を紹介します。
失業保険の賢い使い方とは
- 公共職業訓練を受けて追加の支援を受ける
- 結婚や妊娠、出産や育児で退職する際に使う
公共職業訓練を受けて追加の支援を受ける
ハローワークのサービスの中には、概ね3~6ヶ月間にわたり就職に必要な技能や資格を習得できる「公共職業訓練」があります。
受講費は実費を除き基本的に無料です。
失業保険をもらっている間にこの公共職業訓練を受け、スキルアップするという方法があります。
公共職業訓練のメリットは、タダでスキルアップができるだけではありません。場合によっては追加の手当をもらうこともできるのです。
ハローワークで職業相談をした場合、公共職業訓練の受講を「指示」されることがあります。
この場合、訓練期間中に所定給付日数が終了しても、訓練が終了する日まで引き続き基本手当が支給されます。
また、訓練受講に要する費用として、「受講手当」、「通所手当」などをもらうことも可能です。
職業訓練を無料で受けられるばかりか、失業保険がもらえる期間も延び、追加の手当までもらえる、なんとも嬉しい制度です。
もし条件に当てはまった人は、積極的に利用しましょう。
詳細は厚生労働省のホームページをご覧ください。
結婚や妊娠、出産や育児で退職する際に使う
自己都合で退職する場合は、失業保険がもらえるのは離職後3ヶ月以降となります。
しかし、結婚や妊娠、出産や育児などを理由に退職する場合は、離職して7日後から失業保険をもらえます。そのほか、「被保険者期間」が通算6ヶ月以内でも受給できるといったメリットがあります。
また、既述のように妊娠や出産を経験される方は、失業保険がもらえる期間を延長できます。
失業保険の制度を賢く利用しよう
今回は仕事を失ったり退職したりした場合に利用できる失業保険について解説しました。
会社の業績不振により解雇されてしまった場合や、結婚や出産などで退職する場合などで役に立つ、有り難い制度です。
積極的に活用してみてください。
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